無能な経営者たち

1年前に不正会計が発覚し、稼ぎ頭のメディカル事業を売却して何とか難を逃れたと思われた東芝が、今度は原発事業で7000億円もの損失を計上するという。昨春は原発と半導体の2本柱で再出発すると言っていたが、その半導体も分社化して本体から離れることになった。新会社の株式売却で損失の3割を補う目論見だ。ところが、株式の20%未満しか売却しないという。それでは株を買っても議決権が得られない。こんな株を誰が買うのだろうか。半導体の完全売却は免れそうも無い。残るは原発事業のみ。福島原発事故以来、原発への風当たりは強い。原発建設は更なる安全性が求められ、雪だるま式に建設コストが膨らんでいる。米国ではテロに備え、今までは戦闘機が突っ込んでも耐えられる設計だったが、今では大型旅客機が突っ込んでもOKとなるほどの安全性が求められている。米国では原発が最もコストがかかる電力になっている。既に世界の原発メーカーは殆ど撤退した。東芝の7000億円損失は米国子会社によるものだが、何故こんな会社を買ってしまったのだろう。購入額は260億円だったから、それ程リスクはないと判断したのだろう。ところが、7000億円ものマイナスのオマケが付いていたのだ。安物買いの銭失いとは東芝の経営者のことを言うのだろう。不正会計は、会長と社長の確執から生まれたものだ。福島原発事故が起きても、原発事業に固執したのも経営者。米国の事情も分からずに7000億円を背負い込んだのも経営者。無能な経営者が会社を滅ぼす典型例と言えそうだ。