動物愛護と食材との境

スペイン憲法裁判所がカタルーニャ州の闘牛禁止令を憲法違反だとする判決を下した。スペインと言えば、数百年も続いている闘牛や牛追いが有名だ。でも闘牛をめぐる政治的対応は分かれている。ある調査によると、成人の2割が存続に賛成で6割が反対とのこと。カタルーニャ州では動物愛護団体の運動をきっかけに、2011年に闘牛禁止令が可決され2012年に発効した。それに対し憲法裁は「闘牛はスペイン全体の文化遺産であり、地方政府に禁止する権限はない。中央政府の権限に抵触しているから憲法違反」と断じた。しかし、その判決を受け、カタルーニャ州の大臣は「憲法裁が何と言おうとカタルーニャ州では闘牛は行わない」と息巻いているという。闘牛は見ていて残酷だから止めるべきという気持ちは良く分かる。でも動物愛護団体の主張は良く理解出来ないところが多い。闘牛場と屠殺場の違いは何なのだろうか。何故牛肉を食べるために牛を殺せるのだろうか。更に、豚、羊、鳥、鯨等々、動物愛護と食材の境界はあるのだろうか、無いのだろうか。残酷という行為は、見える所に存在し、見えない所には存在しないのだろうか。疑問は尽きない。ただ現在の闘牛は止めた方が良い。文化遺産は、張り子の牛に替えて形だけを存続させるべきだと思うのだが。