節税と企業倫理

欧州委員会がアップルに対し約1.5兆円の追徴税をアイルランドに納付することを命じた。勿論アップルは反対しているが、アイルランドも反対し、米国も不満を表明している。約1.5兆円の追徴税を受け取れば良さそうに見えるが、アイルランドは今の法人税制が経済政策の要であるから死守すると言う。アイルランドには米国企業だけでも700社以上が子会社を置いていて従業員総数は14万人もいるからだ。米国は欧州が米企業を標的にして世界的な税制改革を脅かそうとしていると不満を言っている。当の欧州委員会は、EUの国家補助規制に抵触していると主張している。国家補助規制とは、企業が政府の支援を得て同業他社より優位に立つことを禁じる規制だ。アップルの実効法人税率は03年の1%から14年には0.005%にまで引き下げられていた。0.005%とは極めて異常だと思うが、自分にとっては誰の言い分が正しいのかは分からない。これは合法的なタックスヘイブンの問題ではなく、違法性の問題だからいずれは決着が着くことだろう。だが自分はタックスヘイブン自体も問題だと思う。大きな利益を上げている世界のトップ企業が、実体のない書類上の本社を他国に置き節税に努めることは企業倫理として好ましいことではない。でも税金は納めれば最適に使われるとは限らない。であれば節税した分を学校建設などの使用目的が限定した機関に寄付すればよい。企業も社会に貢献したことになる。これぞ大企業と言うものだ。銭ゲバだけの大企業はいずれ滅びることになる、そんな時代が来てくれないものかと思うのだが。