親の心子知らず

息子のレイプ事件で母親の高畑淳子が涙の記者会見。息子といっても22歳。もう一人前の大人だ。欧米人から見れば極めて奇妙な会見に映るかもしれない。だが日本では大人になっている子供の尻拭いを親がするのはある程度常識になっている。親としての気持ちは分からなくもないが、親は一度簡潔に謝ればよい。責任は全て子供にあるのだから。ところがマスコミが執拗に追いかける。息子の身から出た錆びとはいえ少し気の毒にも思う。では、親は子供を育てた結果に責任があるのだろうか。科学的な根拠に基づく「言ってはいけない:橘玲:新潮新書」の主張がユニークだ。「人は遺伝子と家庭環境とその他の環境」により人格が形成されると言う。影響度は遺伝子が50%で環境が50%。だが、家庭環境は親の使う言葉程度の影響しかなく、ほとんどがその他の社会環境だと言う。親は子供に口酸っぱく躾をするが、子供は親の思い通りには育たない。つまり、子育てや教育は子供の成長には関係が無いということだ。自分の人生を振り返ってみると、自分も親の意見などは聞かずに育った。確かに一理はある。この本は科学的根拠に基づく進化生物学や進化心理学の入門書のようなもの。「親の心子知らず」と嘆いているうちは、進化していないとも言えるかもしれない。