米連邦最高裁判事と日銀政策委員

朝はNHK-BS1のワールドニュースを見ることが多い。今朝の米国ニュースは、亡くなったアントニン・スカリア米連邦最高裁判事のことを異常なほど長時間にわたり取り上げていた。信念を持って保守派をリードしていた人格者だったと悔やまれていたが、脚光を浴びたのは、人格だけではなかったようだ。最高裁判事は9人いる。そのうち5人は共和党の大統領が指名した保守派で、残りの4人は民主党の大統領が指名したリベラル派だ。保守派のスカリア氏が亡くなり、保守派とリベラル派が同数になり、後任をどちらにするかで態勢が変わる。米国では大統領判断を最高裁が覆すことが多いので極めて重要な選択になる。オバマ大統領がリベラル派を指名すれば、民主党の銃規制や地球温暖化対策に合憲判決が出る可能性が高まる。だが議会がねじれているから、オバマがリベラル派を指名しても共和党により議会で否決されるのは目に見えている。従って、後任選びは次期大統領に任せようという意見もある。5対4という数字は、民主主義的なイメージもあるが、極めて不安定な要素を抱えているとも見える。たった1人の意見で、保守とリベラルの間を大きく揺れ動く恐れがある。日本の日本銀行の金融政策も同じだ。金融政策は、9人の政策委員会委員の賛否により金融政策決定会合で決定される。日本で初めてのマイナス金利は5対4で可決された。賛成の5人は自民党政権時に選ばれ、反対の4人は民主党政権時に選ばれた。議論よりも頭数で政策が決まってしまうのが現実のようだ。奇しくも、今日からマイナス金利が導入された。マイナス金利政策の発表以来、黒田総裁の思惑とは裏腹に、猛烈な円高・株安が進んでいる。果たして金融政策決定会合では本当に真面目な議論をしたのだろうか。