驚異的な建て替え賛成9割

横浜の傾斜マンション問題について進展があったようだ。国交省が、元請けの三井住友建設に指名停止処分、1次下請けの日立ハイテクノロジーズと2次下請けの旭化成建材に15日間の営業停止処分とする業務改善命令を出した。この問題は、三井住友建設の設計ミス、日立ハイテクノロジーズの丸投げ、旭化成建材のデータ改ざん、のトリプルミスで生じたのだから、当然といえる処分と言うより、極めて軽い処分だと思う。この程度の処分で済んだのだから、業界はのど元過ぎて熱さを忘れてしまうに違いない。一方グッドニュースもあった。傾斜マンションの管理組合が発表した住民アンケートによると、区分所有者の9割が全棟建て替えを希望しているという。建て替え希望者がこれ程いるのは、極めて稀なケースだと思う。このマンションは4棟に分かれている。そのうち1棟だけが傾いた。傾いた1棟の住民が建て替えを希望するのは当たり前。しかし、傾かなかった残りの3棟の住民が、建て替えに賛成するとは思ってもみなかった。建て替えは、他の場所への引っ越しと仮住まいの煩わしさや、子供の転校や、コミュニティとの疎遠等々、煩わしさの塊だ。その煩わしさを乗り越えて賛成した理由は、いつか自分たちの棟も傾くかもしれないという不安と資産価値の低下や、三井不動産レジデンシャルが提示した好条件や、コミュニティの維持や、管理組合の努力にあるのかもしれない。いずれにしても、建て替え賛成9割は驚異的だ。マンション管理士として住民の判断を絶賛したい。