二番煎じの悲劇

目出度くテレビ朝日の「若大将のゆうゆう散歩」がいよいよ終了するようだ。地井武男の「ちい散歩」を、加山雄三が引き継いだが尻すぼみに終わった。地井はぶっきらぼうで言葉使いも粗かったが、以外と腰の低さと人懐っこさで番組に馴染んでいた。ところが後を引き継いだ加山には当初からミスキャストだと感じていた。近所を散歩するほどの気楽さはないし、いつも上から目線だ。これでは茅ヶ崎以外では何処に行っても受けるはずがない。加山は80歳だからという理由で番組を降りるようだが、視聴者も番組スタッフもこれ幸いと歓迎しているようだ。加山が外れる理由はただ一つ。加山自身がこの番組を好きではなかったことだと思う。主役自身がツマラナイという番組が面白いはずがない。スタッフが頑張る訳がない。宜なるかなと思う。少し似た同じような事例もある。BS-TBSの吉田類の酒場放浪記だ。続編としておんな酒場放浪記とかキタローの夕焼け酒場が生まれた。しかし登場する役者が下手だ。おんな酒場放浪記では、知らないくせに知ったかぶりの女が飲む姿が、背伸びをしている仕草がアリアリでハナに付く。キタローは加山と同様上から目線だから酒場にはそぐわない。元来役者それぞれに特徴はあるはずだと思う。しかし二番煎じの役者はその特徴を超えられない。これが芸道の世界かもしれないと少し思った。