原発事故は想定外ではなかった

福島原発事故を巡って2回目の検察審査会でも、東電元会長ら3人を起訴すべきと決議され強制起訴が決まった。起訴理由は「大きな地震や津波の可能性があったのに目をつぶって何ら効果的な対策を講じようとしなかった」こと。その根拠は「東電は平成20年に15.7mの津波を自ら試算していた事実から、災害が発生する危険を具体的に予測できたはず」というもの。ところが検察は「まれに発生するものまで備えておく必要があるとするなら、全ての重大な事故で責任者の過失が認められることになる」という理由で不起訴にしてきた。当時の東電や政府は「想定外」と弁明していた。ところが国際原子力機関IAEAは「想定外」ではないと一蹴した。2007年に、日本には設計基準を超える事故について検討する法的規制がないと指摘し、過酷事故に十分備えるよう求めていた。機器の故障などが大事故に至るすべての可能性を把握する安全評価の実施を勧告していたが、抜本的な対策を取っていなかった。10年ごとの定期安全レビューでも地震・津波予測の再評価が義務付けられておらず、過酷事故への対応や安全文化の見直しも含めて「国際的な慣行」に十分従っていなかったと指摘している。どう見ても、日本の原発は、IAEAの勧告や助言を無視し続け安全を蔑ろにしてきたことは間違いない事実だ。検察は一般論でお茶を濁し検察機能を果たしていない。一方検察審査会の3人起訴も中途半端だ。責任は原子力ムラをリードしてきた全ての人にある。抜本的な究明が必要だと思う。