サッカーと集団的自衛権

「ゲッツェ」と聞いてすぐに思い出す人はいるのだろうか。ドイツ国民やサッカー通ならば、生涯忘れられない名前だろうが、世界の人は既に忘れてしまった名前に違いない。W杯決勝戦ドイツ対アルゼンチンの延長後半にミラクルな決勝ゴールを決め、ドイツに勝利の女神をもたらしたのがマリオ・ゲッツェ選手。勿論ドイツがW杯を手中に出来たのは、それなりのチーム作りにあったと言われている。だが一方でサッカーで高まる愛国心を懸念する声もあるらしい。ドイツではナチスへの反省から愛国心をむき出しにすることがタブー視されている。ところがここ数年、サッカーで国旗を振り回し騒ぐさまが国粋主義の兆しだと指摘する向きもあるようだ。これ程までにナチスの亡霊が現存しているのが世界の現実だ。一方一次リーグで敗退した日本では、集団的自衛権が閣議決定され法案作成に進んでいる。日本国民の誰しもが今更戦争になる可能性などありもしないと思っている。しかし多くの国が理解を示す中で、理由は兎も角、韓中は軍事大国日本の復活だと批難している。幻の日本軍は今でもどこかで生きているのだ。安倍首相には、ナチスの亡霊を払拭するくらいの説明責任の努力が求められている。サッカーを見れば間違いない。