深刻な懸念はASEAN会議

大国による力の現状変更が頻発している。クリミヤに続きウクライナ東部、更に南シナ海の領有権争いだ。ともに国際的には認められない行為だが、原因は大違い。ウクライナ東部は、大国ロシアが介入してはいるが、基本的には民族問題であり、住んでいる人たちの選択の問題だ。ところが南シナ海は全く違う。大国中国とベトナムが衝突したパラセルは、ベトナム領地を中国が無理やり実効支配した地であり、中国の領地ではない。その地で中国が実績作りの為強引に石油掘削を始めたからベトナムが反発している。誰が見ても大国中国に非があるのは歴然としている。性質の悪い大国の横車と言える。ところが、ASEAN外相会議では「深刻な懸念」とは表明したものの「中国」との名指しは避けてしまった。今こそ東南アジア諸国が一致団結して大国中国の横車に対し、ノーを突き付けストップさせるチャンスであったのに残念に思う。ミャンマーもカンボジアも中国に経済支援という形で懐柔されている。今止めなければ、そのうちミャンマーもカンボジアも第二のベトナムになることは間違いない。深刻な懸念とは、衝突問題ではなく、中国にノーと言えないASEAN会議と言える。先を読める指導者がいないことが、悲劇を増長させつつあるようだ。