テレビメーカーの生きる道

自分が生まれてこの方、テレビほど影響を受けたものはないと思う。勿論放送の内容ではなくテレビ技術の進歩にだ。小学校に上がる頃、裕福な家庭がテレビを設置するようになり、時々見せてもらいに行ったことがある。白黒のスーパーマンは今でもこの眼に焼き付いている。品川駅の街頭テレビのプロレスも懐かしい。中学生になり我が家の居間にもテレビが置かれた。家族全員揃ってテレビの前に正座して見たものだ。高校生の時はカラーになり東京オリンピックを楽しんだ。それから何十年も経ってから松下電器がブラウン管のハイビジョンテレビを発売した。当時は相当高価だったが清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入した。買ってよかったと思っている。臨場感抜群で、MLBの試合など、かつて現地で見た時と全く同じような気分にしてくれた。我が眼で見た米国のイチローとハイビジョンのイチローがダブって見えた。そして数年前3Dが持て囃された。割高を承知で購入したが、パフォーマンスが今一だった。3Dの概念は良いのだが、眼鏡が必要で長い時間見ると頭が痛くなるのが欠点だった。そして今は4Kになろうとしている。今までの自分の経験から言えば、4Kはそれだけでは成功しないと思う。より綺麗に見れるというテレビ技術だけが進歩しても発展はしない。文化を変えるテレビ技術こそが時代を切り開いて来たし、これからも切り拓いていくのだろうと思う。そこに日本のテレビメーカーの浮沈がかかっているはずだ。