言葉狩り

鉢呂経産相が就任9日目で辞任した。辞任の理由は「福島原発周辺の市街地は死の街だった」発言とのこと。本当だろうか。福島原発周辺の市街地は死の街であることは事実だ。被災者の心を逆なでしないという日本人の良識には反する言葉だから、非常識だと咎められてもしょうがない。だからといって大臣を辞めるに値するような失言ではない。鉢呂は「死の街だった」で切らずに「死のような街を再生させたい」と言えば問題はなかったはずだ。単に言葉足らずでマスコミが過剰に反応したに過ぎない。では何故マスコミは過剰に反応したのだろうか。鉢呂は就任直後に「原発ゼロと反TPP」を打ち出した。一方日本の原子力業界は、中曽根康弘の1954年原子力研究開発予算国会提出、読売新聞社社主正力松太郎の初代原子力委員会委員長就任に始まり、それ以来政財癒着の温床になっている。自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部の2009年分政治資金収支報告書で、個人献金額の73%が東京電力など電力9社の当時の役員らによることが共同通信の調べで分かっている。正力からナベツネに至り読売新聞社の原発推進は脈々と流れている。鉢呂の辞任は原子力推進派読売の「言葉狩り」が原因だ。責められるべきは、自民と電力業界と読売の癒着関係だ。自民は原発推進を前面に出し正々堂々と政策論争をすべきだ。結果は国民が総選挙で判断することになる。