人事構想の考察

野田内閣がスタートしたので、先日の8月30日人事構想を考察してみた。全体的には挙党体制で野党対策も考慮した内閣が出来たと思う。幹事長は岡田に断られ最終的には側近の実力未知数の藤村になった。岡田は官房長官については野田との格の逆転、財務相については増税の矢面に立つのはイヤということで辞退。要は次期党首選出馬の芽がなくなるのを恐れたためだ。これでは時期も望めない。格の逆転があっても官房長官になった方が好印象を与え敵の数を減らせたはずだ。財務相は野田に代わり安住になったが失敗人事。増税路線を推し進めるには与謝野が不可欠、代理は見当たらない。元々安住は組織の長には不適。愚痴をこぼしながら走り回る廊下トンビが似合う。早速第3次補正予算ではけちけちせずに予算編成すると公言した。編成方針が「けちけちせずに」では、この先が思いやられる。野田は安住の経験のなさを自分がカバーする積りだろうが、首相業務に時間を取られて出来ないだろう。このままでは財務官僚への歯止めが増々無くなってしまう。経産相は海江田に代わり鉢呂になった。立場が代われば意見も替わると公言した海江田はずしは正解。鉢呂は実力不詳。経産相には鹿野農水相が適任だった。鹿野は昔から農水大臣を経験しており農水省を知り尽くしている。当面の震災対応には適任であるが、農水省改革の面から見ると大きな抵抗勢力となる。むしろ鹿野を経産相にした方が、農水省改革を含めた新たな経済政策が見込めたはずだ。国交相は前田になった。馬淵前国交相は、バリバリ仕事をこなしていたが、本人とは関係ないところで辞任させられた。実務能力のある馬淵を活用すべきだった。外務相は松本から玄葉に代わった。松本は前原からの繰上りで仕事はほとんどしなかった。玄葉は外務の経験がなく不安な面もあるが若さで頑張ってもらうしかないだろう。外務相の適任者は枝野だった。枝野も外務の経験はないが抜群の知名度がある。震災時の連日連夜の官房長官会見は世界各国に報道され一時は日本のジャック・バウアーと言われたほどだ。世界は枝野に好印象と信頼感を持っている。これを利用しない手はない。新人が巧みに演説するよりも、枝野の言葉の方がはるかに説得感を与えるはずだ。行政刷新相は蓮舫になった。事業仕分けだけが行政刷新ではない。蓮舫がもっと大きな視野で行政刷新出来るか極めて疑問。みんなの党渡邉代表に教えを乞うとよいが、気位が高く頭を下げることは出来ないだろう。従って失敗人事。野田首相は言うことが明確で分かり易い。人柄も良さそうに見える。政治の一歩前進を期待したい。