17日 4月 2024
著名人の画像や名前を使った「なりすまし広告」による詐欺被害が深刻だ。今年配信した投資広告のうち、半数以上がなりすましとみられているという。警察庁によるとSNS型投資詐欺の被害は、2023年に認知されただけで2271件、総額約277億9000万円にのぼった。1件当たりの被害額が1000万円超と高額なことも特徴だ。実業家の前沢友作がメタ(旧Facebook)に抗議した。しかし、メタの回答は「これまでもしっかり取り組んできたが、詐欺広告の根絶は難しい。今後も取り組んでいく」というもので、埒があかない。SNS型投資詐欺は世界的に問題になっている。EUは偽情報などの違法コンテンツの削除を巨大IT企業に義務付けたデジタルサービス法を導入している。しかし、日本では明確な法規制がなく、取り組みは事業者側の自主性に委ねられているのが実情だ。要するに、詐欺をする者もメタも日本をナメているのだ。結局「何もしない」ことが詐欺や悪質商法を行う者たちにとって、追い風となっているのだ。遅ればせながら政府は今国会に、他者の権利を侵害した発信者の情報を開示するよう定めたプロバイダー責任制限法の改正案を提出する。もっと世界と歩調を合わせてSNS型投資詐欺の撲滅を図るべきだと思うのだが。
16日 4月 2024
皮肉なことに川勝が静岡県知事を辞めてから、リニア反対の援軍が現れた。認知科学者の苫米地英人は「リニアは新幹線の4倍もの電力を使う。つまり原発再稼働が前提なんですよ。コロナ禍によってリモート作業が定着してリアルで会わないとビジネスできないと思ってる人はどんどん減っている」と否定的だ。生物学者の池田清彦は「リニアを構想した時と10年後では産業構造が全く変わってしまうので、リニアは無用の長物になると思う。リニアは開業できるかどうか?2034年以降に開業できたとしても赤字必至だと思う。トンネルばかりで景色がほとんど見られない列車には観光客は一度乗ったらもう乗らないよ。建設費を回収することはほぼ不可能だと思う」と同じく否定的。20世紀はより速く移動することが大きな利益をもたらす時代だった。新幹線網もそうした時代の流れの中で整備されてきた。だが、これからの時代は、スピード第一ではなくなっていく。完成した頃は誰が見ても、無用の長物だ。だが、政府は6月に閣議決定する予定の経済財政運営の指針「骨太の方針」に、品川―大阪間の全線開業時期を最速令和19(2037)年と改めて明示する方向で調整に入ったとのこと。税金をドブに捨てながら安倍・葛西の遺物完成を後押ししている。
15日 4月 2024
久し振りに東京に出かけた。目的地は上野広小路。50年以上前に東京の研究所地区に初任配属された仲間の同期会に参加するためだ。青砥始発の上野行きに乗った。空席があるほど空いていたが、途中駅から混み出した。見ると殆どが、中国人や西洋人だ。日暮里でゴソッと降りた。帰国するのだろうか、それともこれから観光するのだろうかとの思いが馳せた。上野の改札口も外人が溢れていた。これは間違いなく帰国する人に違いない。少し時間があるのでアメ横を散策してみた。ここも外人で溢れていた。出店が立ち並び、まるで縁日そのもの。外人たちはアメ横文化を大いに満喫していた。アメ横といえば、師走の大賑わいで知られているが、4月の平日でも大賑わいするとは驚いた。ニュースでは、単月の訪日客が初の300万人超えと報道している。期せずして、初の300万人超えを実感した次第。勿論、同期会で楽しい時間を過ごしたことは言うまでもない。
14日 4月 2024
次世代パワー半導体材料として期待されている窒化アルミニウムAlNのpn接合を作製することに名大と旭化成のグループが成功したとのこと。現在最先端のパワー半導体にはダイヤモンドや酸化ガリウムが使われるが、AlNはそれらを超える特性を持つ可能性が知られていた。しかし、デバイス作製時に必要となる不純物をドーピングしても室温で導電性能が得られない点が課題だった。研究グループは、不純物ドーピング以外の方法を編み出した。AlN基板の上に窒化アルミニウムガリウムを成長させる。窒化アルミニウムガリウム中のアルミとガリウムの比率を徐々に変化させると、絶縁体であった窒化アルミニウムガリウムをp型やn型にすることが出来たという。電界をかけたときに壊れる強度は、シリコンカーバイドや窒化ガリウムの約2倍と、耐圧性に優れていた。この半導体が実用化されると、電力変換の損失が少なくなるため、現在流通している製品よりも大幅な省エネが期待できる。その結果、携帯電話の基地局やレーダー、通信衛星といった次世代通信や高電圧での交流電力送電システムに応用する道が開けるという。半導体も奥が深い。
13日 4月 2024
老化を制御出来る日は近いという。その主人公はサーチュインというたんぱく質だ。サーチュインは特別な酵素の働きを持っており、他のさまざまな遺伝子の働きを制御したり、体内のエネルギー代謝にかかわったりして、老化や寿命を制御しているというのが定説だ。サーチュインを活性化すると寿命を延ばせることは動物実験で確認されているが、人間には未確認だ。サーチュインの働きを制御しているのが、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドNADという補酵素。NADが加齢に伴って減ると、サーチュインの働きが弱まって老化が引き起こされる。だが、サーチュインもNADも、大きなたんぱく質なので直接細胞内には取り込まれない。このため、さまざまな手法で、NADを体内で減らさないようにするNADブースティング研究が盛んだ。その1つが、いま日本でブームになっているニコチンアミド・モノヌクレオチドNMNという物質。NMNは、ビタミンのような小さな化学物質で、体内でNADに変わる。更に、NMNを体内で合成する物質が研究されている。さて、研究が進展し、長生き出来るようになると社会はどのように変化するだろうか。長生きはメリットばかりではない。デメリットがクローズアップされ、ひょっとするとNMNを無能化する研究が始まるかもしれない。
12日 4月 2024
岸田政権が目玉政策と掲げる「異次元の少子化対策」には問題が多い。1つは、財源。本来であれば、税で賄うべきものだが、病気やケガに備えた健康保険に上乗せして徴収するという。岸田は防衛費倍増で増税メガネと揶揄され、無理筋の健康保険上乗せにしてしまった。しかも、未だに徴収額は不透明なまま。子も持てず生活も苦しい年収200万円の家庭からも徴収するという歪さだ。もう1つは、少子化対策の中身。子を持つ夫婦を対象とするものに偏重し過ぎている。肝心の若者が結婚や子どもを持つことをためらう環境を変えることは対象外だ。韓国では、子を持つ夫婦を対象に15年間で30兆円を投じたが、出生率は下がり続けたままだ。日本が同じ事をやっても、韓国の轍を踏むだけだ。更にもう1つは、担当相の無能さ。加藤鮎子担当相は、加藤紘一元官房長官の娘で2児の母だから子ども政策担当相に抜擢されたとみられている。ところが、国会答弁はシドロモドロ。政策を理解出来ていない。間違いが3つも重なれば、失敗は目に見えている。
11日 4月 2024
国民体育大会の名称が、今年から国民スポーツ大会に変わった。日本体育協会が日本スポーツ協会に名称変更したものに伴うものだから、実質的な変更では無い。国民体育大会は昭和21年に第1回大会が近畿で開かれた。全国を東・中・西地区に分けて順番に開催されている。スポーツ庁は「広く国民の間にスポーツを普及し国民の体力向上を図るとともに,地方スポーツの振興と地方文化の発展に寄与することを目的」としている。でも、今では国民の間に充分スポーツは普及している。今後も国民体育大会を続ける意義は有るのだろうか。全国知事会長の村井宮城県知事が国スポ廃止も一つの考え方と述べた。岩手県の達増知事は各都道府県の負担が大きく今の形式での開催は極めて困難で国が予算を確保すべきと主張している。丸山島根県知事も「今のまま3巡目に入るのであれば廃止するべきだ。費用面からそもそも開催できない」と述べている。島根県は2030年に2巡目となる国スポの開催を控えている。総事業費は235億~265億円程度になると試算されるが、国の補助金は5億円程度にとどまるのだ。しかし、丸山は「開催すると県が手を挙げ、今の仕組みの中でやる約束をした立場でもある」と述べたという。日本スポーツ協会も知事達もクレイジーとしか言い様がない。
10日 4月 2024
台湾の花蓮沖を震源とする強い地震の発生から1週間が過ぎた。太魯閣国立公園では土砂崩れで道路が遮断され700人がホテルに取り残された。しかし、3日後には孤立状態が解消された。テレビに大写しされた花蓮市の傾斜したビルの解体工事は地震当日に始まった。余震で完全に倒壊し新たな犠牲者が出るのを防ぐためだ。2009年に施行された法律で、地震や台風で被災した建物を専門家が個別に調査し、倒壊リスクの程度によって赤や黄色に分類。赤と判定されれば所有者の同意なく当局が撤去できるようになったからだ。避難所の運営も順調で寄付された食料や生活必需品が素早く届いた。驚いたのは、体育館などの緊急避難所だ。直後に小さなテントが設置されプライバシーが守られるだけでなく、暖かい食事も提供された。更に、驚くべきことは、1週間後にはその緊急避難所がもぬけの殻になったのだ。緊急避難所はあくまでも緊急時という考えが徹底されており、避難者は早々に居心地の良い2次避難所に移ったからだ。台湾では1999年の中部地震で2400人以上の死者を出した。その経験が生かされているのだ。翻って日本を見ると、阪神大震災で6千人以上、東日本大震災では2万人の犠牲者を出したのに、能登地震では、東日本大震災と同じ光景が繰り返されている。誰かがサボっているからだ。
09日 4月 2024
少子化と人手不足を背景に、企業の人材採用戦略が大きく変わりつつあるようだ。日経によると、2024年度の採用計画に占める中途採用比率は過去最高の5割に迫る水準になったとのこと。新卒の採用充足率は88%で、その4分の1が2年以内に離職する。新卒中心の採用慣行は転換点を迎えたと言うよりは、むしろ時代遅れになっているのだ。不足が顕著なのがIT分野だ。経産省によると、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足する見通しとのこと。日立製作所は、社員の知人・友人を介した「リファラル採用」を導入した。いわば新しい形の縁故採用だ。採用面接も一変させた。もはや「学生時代に力を入れたこと」など聞かない。「入社後どの職種で日立のリソースを使ってどんな社会課題に取り組みたいか。それはなぜか」を5分以内で説明してもらうプレゼン選考だ。技術者派遣大手のテクノプロ・グループは企業が個人に直接接触できるサービス「ダイレクトリクルーティング」を取り入れた。三菱重工は、退職者の出戻りを大歓迎し応募が殺到している。ミスマッチを防ぐ選考方法に工夫を凝らす企業が採用サバイバルを生き抜くことになりそうだ。
08日 4月 2024
元横綱白鵬の宮城野親方が弟子の暴力問題で監督責任を怠ったとして、2階級降格の処分を受けた。親方から最下位の年寄りに降格され、宮城野部屋は閉鎖された。宮城野親方は、暴行を把握しながら協会への報告を怠り、外部の人を使って協会の調査を妨害したとされている。それにしても、2階級降格と宮城野部屋閉鎖は余りにも過重な処分ではないだろうか。一方で、八角理事長に近い者に対しては、甘い処分が続いている。今回の改選で協会のNo.2である事業部長のポストに就いたのは、かつて弟子をゴルフのアイアンで殴る暴行事件を起した春日野親方だ。陸奥親方は、部屋の力士が暴力隠蔽事件を起こしても報酬減額処分だった。今回の処分は弟子の暴行とされているが、真相は何なのだろう?宮城野親方は、顔が広く金集めも上手い。サービス精神も旺盛だ。でも、現役時代から相撲協会に対して物怖じせずに発言しており、従順なタイプではない。一方で、協会には八角理事長の次期候補不在の問題がある。通常、理事長になるのは横綱か大関経験者だ。でも、芝田山親方も浅香山親方も左遷されてしまった。続くのは宮城野親方しかいない。だが、八角から見ると宮城野親方は問題児に映るとみえる。今のうちに潰しておこうとの魂胆らしい。要するに協会は異文化を受け入れない閉鎖社会だ。英国の思想家バークが「保守のための改革」という言葉を残している。つまり根本にある精神の部分は変えずに、時代に合わせて細部を微調整していくことの重要性を説いたのだ。協会全員でバークの「保守のための改革」を勉強すべきだと思うのだが。

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