クライシスアクターって

銃乱射を生き残った高校生たちに全米から誹謗中傷の嵐だとか。考えようによっては、日本と米国の文化の違いは面白い。桂米丸の落語で、ノコギリもリヤカーも、日本では引くが米国では押す。鉛筆で間違えた字を書いた時、日本人は書いてから消しゴムで消すが、米国人は書く前に消す、という落ちを聴いたことがある。そんな落ちを思い起こさせるのが、乱射事件後の米国民の対応だと思う。事件後、多くの高校生が銃規制強化を訴え、その運動が全米に広がっている。ここまでは日本と同じだ。ところが、その反動は全く違う。極右支持者は、17人が殺された高校の生徒たちを「雇われた役者」「偽物の生徒」と攻撃している。この生徒たちは銃規制という政治目的を達成するために雇われ、犠牲者の役を演じる偽物「クライシスアクター」だと攻撃している。ロシア疑惑の渦中にいるドナルドの長男も「いいね」と投稿しているから、大統領も「いいね」という気持ちなのだろう。日本の常識から考えて、17人もの仲間を殺された高校生の訴えを、クライシスアクターなどと言えるはずがない。いや、世界の常識で考えても、クライシスアクターなどと言えるはずがない。米国で幅を利かせている極右は狂っているとしか言い様がない。その行為は、まさに米丸の「書く前に消す」ように映って見える。