我が家のダイヤモンド富士

我が家の窓からは遠く富士山が見える。以前はもっと下まで見えたのだが、今ではビルが建ち並び富士山の頂上だけが辛うじて見えるだけだ。でも、間違いなく富士山である。冬になると空気が澄み、見える日が多くなる。夏は黒いが、冬は白い。だが冬でも夕方の富士山は黒いシルエットに変わる。太陽の沈む場所が日に日に左から右へと移っている。科学的に言うと太陽の日没の方角が南から北へと変わりつつある。昨日が、我が家から見えるベストのダイヤモンド富士なのかもしれないと思った。午後5時過ぎから夕日を観察し始めた。15分以上太陽を見詰めていたのかもしれない。眼がおかしくなってきた。カミサンから怒られた。それでも我慢をしていると、いよいよ太陽が富士山頂に近づいて来た。しかし、もうすぐ富士山頂というところで雲が太陽を隠してしまった。しかも、山頂の左肩辺りで、まだ少しずれているようだ。そこで明日こそ、我が家のダイヤモンド富士に違いないと確信した。そして今日こそはダイヤモンド富士を見ることが出来る日だ。天気は良い。快晴だ。昨日のような雲もない。千載一遇のチャンスと思った。いよいよ我が家のダイヤモンド富士の到来だと確信した。だがその時、我が家の前の駐車場で見慣れぬ車が右往左往し始めた。その状況を2階から観察した。しかし、不穏な空気は無いと分かった時には、既に日没を終えていた。富士山は黒いシルエットだが、空は茜色で太陽は見えない。時既に遅し。カメラまでも用意したのに、今年の我が家のダイヤモンド富士は、とうとう見ずじまいに終わってしまった。来年こそは、雑念を払う年にしなければと反省した次第。