生きた教育とは

高校野球の地方予選が面白い。ルーズベルトの「野球で一番おもしろいゲームスコアは8対7だ」と言った言葉は有名だが、それを超えるゲームがあった。石川県大会決勝の星陵対小松大谷。0対8と敗色濃厚だった星陵が9回裏にひっくり返し9対8で逆転サヨナラ勝ちして甲子園出場を決めた。星陵関係者には一生忘れる事の出来ないゲームになったに違いない。それ以上に星陵ナインにとっては「最後まで諦めない気持ち」が、今後の人生を切り拓く拠り所になるはずだ。だが上には上がいるものだ。それにも勝るチームがあった。大阪府の決勝に進出したPL学園だ。昨年暴力事件のため活動が停止され、監督も去った。しかも後任が決まらず、素人の校長が監督として登録されている。事実上監督不在だ。高校野球は特に選手の一挙一動を監督が指示するから、監督が不在ということは糸の切れた凧のようなもの。その監督不在のPLが何と全国で最難関の大阪府決勝に進出した。作戦や選手交代は選手同士で決めているという。選手たちにとって、自主的に行動し、話し合いながら物事を決め、かつ結果を出してきた経験は、実社会に出てからの大きな武器になるに違いない。生きた教育とは、こういうものを指すのだろう。