101系から思い出の連鎖

旧国鉄の101系電車が、秩父鉄道でラストランをしたとのこと。昔中央線を走っていたあのカナリヤ色の電車だ。今から60年近く前自分が小学生の時、初めて乗った時の感動を思い出した。夏休みに自宅の品川からお茶の水の順天堂大学病院のプールに時々泳ぎに行ったことがある。順大には従兄が勤めていて、その紹介でプールが使えたからだ。お蔭で学校の水泳大会で一番を獲ったこともある。品川から東京まではチョコレート色の古い電車で、床の油が臭くて往生した。ところが東京からお茶の水まではカナリヤ電車。広いし綺麗で臭くもない。まるで別世界に来たような気持ちになった。ところがそう思ったのも束の間、あっと言う間にお茶の水に着き兄に急かされて下車をした。カナリヤ電車が去っていく後姿を見ながら、もう少し乗っていたかったのにと恨めしく感じたことを思い出す。お茶の水には、父のやっていた水道工事の店があった。店先にはホンダベンリイ号が置いてあり、父が単車を運転することを初めて知って感激した。昼食は店の近くの喫茶店によく連れて行ってくれた。ひき肉とみじん切りした玉ねぎを炒めたものを挟んだジャーマンサンドが大好きだった。これを食べると、まだ見たこともない外国が見えたような気がした。101系ラストランから、イモずる式に当時の思い出が蘇ってきた。101系ご苦労様でした。