イタリアの地震予測裁判

イタリアは日本と同じ地震国で、古くからの地震被害の記録が数多く残されている。イタリアで地震が多いのは、ユーラシアプレートとアフリカプレートの境界部分にあるため断層が多く、かつ現在のプレート説では説明が出来ないほど複雑な地層の動きがあるためとのこと。高々アペニン山脈と地震帯が一致している程度のことしか分かっていないのが現状だ。そのイタリアで、2009年4月6日イタリア中部地震が発生し、観光地ラクイラを中心に死亡者309人、被災者6万人以上の被害が出た。ところがイタリア地震委員会は地震発生前の3月31日に群発地震は続いているが大地震の兆候はないと発表していた。検察当局は、その発表が被害を拡大させたとして、地震委員会を過失致死の疑いで捜査を始めた。そして今年9月25日に7名の委員全員に禁錮4年が求刑された。一方、地震発生の数週間前、グラン・サッソ国立研究所の技師はラドンガス研究に基づいた地震予測により、近々に地震がイタリア国内で発生すると予告していたが、市民保護局により煽動者とされ罰則を受けた。「ある」と言えば罰せられ「ない」と言っても罰せられ、地震学者はやっていられまい。地震学者には、イタリアだけにガリレオ・ガリレイを見習って、何があろうとも真実を追求する道しか残っていないのかもしれない。